根室のジャズ喫茶で

October07 [Fri], 2005, 12:50

何年か前、北海道の根室で「サテンドール」というジャズ喫茶に入った。
根室の街にはロシア語の標識がたくさんある。
本土最東端、納沙布岬からは、貝殻島、水晶島が肉眼でくっきり見える。

中標津の空港で借りた車には、CDプレイヤーしかついていなかった。
荷物には、張り切って作った大量の編集テープとMDしか入ってない(泣)
CDを求めて根室市街にあるジャスコに行くが、扱っておらず、近くの時計屋さんに行けという。
時計屋さん?
メモにかなり怪しい地図を書いてもらい…

あった!時計店!「CD」の看板!

本日定休日

…わーん

そこで、ジャズ喫茶に行くことにしたのだ。
ここならCD店を教えてもらえると思って。

店には他に誰もいず、入り口ドア付近におそるおそる座る。
正面の壁には、マイルスのポスターが貼ってある。

店の奥にある大きなスピーカーから流れていたのは、
キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」だった。

ケルン・コンサート / キース・ジャレット
 (1975年録音)

言わずと知れた名盤。
が、CDは持っていたものの、あまり聴くことがなかった。

コーヒーを飲み、CD店を尋ねてすぐ出るつもりが、
流れてくる音のあまりの素晴らしさに、席を立てなくなった。
スピーカーが、店の雰囲気が、音を聴く環境が違うだけで、こんなに違って聴こえるのか!

驚いた。
今までまったく聴いていなかった音、タッチがよく聴こえてくる。
澄み切った一音、一音が、無二の音楽を形作っている。

入り口近くの窓から午後の日射しが入り、空気中に舞うほこりがきらきらと光っている。
真夏なのに、ドアから入ってくる涼しい風。
上質な音で聴くケルン・コンサート。
しん、とした店内に、研ぎ澄まされたピアノの音が響く。

それまでの、キース…、という傲慢な感想が完璧に吹っ飛んだ。
文句なく素晴らしい演奏だった。

お店の人にきき、車で少し行った先のツタヤで、CDを何枚か買った。
ケルン・コンサートは置いていなかった。

サキコロと一緒にドライブ

September18 [Sun], 2005, 17:18

SAXOPHONE COLOSSUS / SONNY ROLLINS(1956年録音) 

名盤中の名盤、サキソフォン・コロッサス。
悩み多きイメージのソニー・ロリンズ氏。
でもこのアルバムは、悩みなどまるで無いかのように、すこーんと突き抜けていて、聴いていてとっても気持ちがいい。
どんなシチュエーションにもぴったりはまるが、
今までで一番はまった!のは、北海道の何もない一本道をドライブしていた時。

夏、快晴、どこまでも続く緑の大地、そして見えてくる海。
空気はさらっとして、全開にした車の窓から、真夏の北海道の清々しい風が、びゅんびゅんと容赦なく入ってくる。
フロントガラスから見える空は真っ青。

風を切る音と一緒に聞こえてくる、
これ以上はないくらい、深く美しいテナーサックスの音色。
じっと大人しく聴いてはいられない、マックス・ローチの心躍るリズム。

こころが熱くなる。
ハンドルを握る手が音と一体になって動く(ダメじゃん)
かん…ぺきっ、って思った。
このままリピートしてどこまでも走り続けたかった。

今も一曲目のセント・トーマスのイントロを聴いただけで、あのときの風を切って走る感触を思い出す。
そして、今日のような高く青い空を見ると、サキコロを思い出し、また聴いてしまうのです。

ハンク・モブレー・タイム

August03 [Wed], 2005, 23:24

Roll Call / Hank Mobley(1960年)

ハンク・モブレーよく聴くなあ。なんででしょう。無条件でうきうきする。
まさにファンキーごきげんジャズ♪

あんま深刻になるなよ。

うちで乾杯時によくかける。それもちょっとぐったりしている時。
今日はくたびれた~、とにかくまずビール飲むぞ、あとごはんはちょっとでいいや、みたいな時。
軽やかなハンク・モブレーのサックスの音色に、ゆったりと気持ちがほぐれてゆく。
Take it easy.

そういえば料理してる時もよくかける。
だから、ごきげん(適当)料理になってしまうのか。

ブログ書いているときも、よくかける。
だから筆が滑るのか。(キーボードですが、まあ)