『私は貝になりたい』スペシャル・コレクターズ・エディション
ブルーレイ版とDVD版がうちに来ました。
本編は覚悟がいるので、メイキングから観たのですが…
メイキングのカメラの先で、みるみるやせていく豊松さんが怖かった。
撮影の順を追うにつれ、ナカイさんの自我が徐々に分裂していって、豊松がリアルな人間として生まれていくのを見ているようだった。
10日間の絶食をしてのぞんだという遺書のシーン。
限りなく死に近いところまで降りていっているように見える。
黒い布を被せられるその瞬間に、手にした家族の写真にむけて微笑んでいるのが、メイキングのカメラではよくわかる。
白い縄と黒い布を外されてもまだ、殺される直前の表情のままだった。
こんな過酷な役を演じて…いや、ナカイさんの場合は演じるなんて器用なことはできないから（すいません）
心身ともに豊松になりきってその生を疑似体験した、豊松としての人生を短いあいだなりに生きたということなんだと思う。
無茶な減量を繰り返して精神的にも体力的にも追い込まれて、最後はナカイさん自身、虚と実がごっちゃになっていたように見える。
たぶん、あの瞬間、本当に「清水豊松」が「殺された」んだろう。
黒い布を被せられ、見えない写真を指でなぞり、二度と人間に生まれたくないと絶望しながら。
よく精神のバランスが保てたなと思う。
でも、ココロの弱い私は保てなくて、さっそく夢でうなされました
映画もドラマもコメディでお願いします、ホントに。
