何度か支笏湖に行ったけれど、
決まって天気が悪い。細かい雨が絶えず降っている。
湖の向こうに見えるはずの山は、厚い雲がかかっていて、その姿はまったく見えない。
車を止めて外に出ると、冷たく湿った空気が肺に入ってくる。
髪はあっという間に湿気を含み、頬にまとわりつく。
霧雨がさあっと強くなり、
ひんやりした細かな雨粒が吹きつけ、顔中を濡らす。
深く、暗い色をした湖面が、風にうねるのを見ている。
暗澹たる気持ちになってくる。
湖が拒絶しているのかな、と思う。
あきらめていつもすぐ帰る。
湖を囲むしめった道路を、ひたすら飛ばして帰る。
時おり激しくなる雨に、路面の水を弾くタイヤの音が高くなる。
千歳の街中に戻り、なぜかほっとする。
しばらく支笏湖には行っていない。
いつかあの桟橋に立ってみたいとも思うけれど。
屈託なく輝く支笏湖が見てみたい。からりと明るく晴れた日に。