そうかな「まっ白」「静かな場所」「正義は勝つ」

そうかなメモその6「まっ白」とクリスマスの約束

June25 [Sat], 2005, 17:13
まっ白 / 小田和正(2004年)

「そうかな」1曲目に収録

2004年、2月29日付日経朝刊のインタビュー。
小田さんは「日本人が誇れる音楽文化を作るのが使命」と語っています。
3回の「クリスマスの約束」を終えた2ヶ月後。

2001年。小田さんが「いいな」と思ったアーティストの歌を7曲選び、「クリスマスの約束」という番組で一緒に歌って欲しいと直筆で手紙を書いたのに、全員に断られ、結局ひとりで歌うことになってしまいました。
しかし、とっても良かった!今まであまり聴かなかったアーティストの歌も、こんないい歌だったんだ。と思ったです。小田さんによって、あらためてその歌の持つ魅力に気付かされました。
小田さんは「ものすごい練習した。楽曲の深いとこまで掘り下げて。」とゆってた。楽曲に対する敬意が、ちゃんとこちらに伝わってきました。
その中に Mr.Children の
「Tomorrow never knows」
がありました。

放送後、番組を見た桜井氏から手紙が来ました。手紙には、出演を断った理由(TV局への不信感とか・笑)のほかに、「僕達の音楽はもうつながっています。つなげてくださったのは小田さんです」と書かれていたのです。
誰も来てくれなくてちょっぴり傷付いていた?と思われる小田さんでしたが、その手紙に励まされ翌年も番組をやる決心を!

2002年、2回目のクリスマスの約束で、桜井氏からのその手紙を紹介した後、
Mr.Childrenの新しい歌、「HERO」をピアノで歌いました。
これがとにかく圧巻でしたねー。
わたくしいたく感動してしまいました。
当時桜井氏は体調を崩し療養中、小田さんなりのエールだったと思います。

そしてついに2003年、3回目のクリスマスの約束で、桜井氏がゲストとして来て、お互いの曲を共に歌ったのです。

「この国で僕らのような音楽をやってきた者にとって、今大切なことは、同じ時代をともに生きるアーティスト同士、お互いの音楽を認め、愛し、尊敬しあうことではないか」との趣旨でスタートした番組も、3年目でひとつの結果を出した。
遡って1982年。
5人でのオフコースの活動を休止した後、小田さんが日本グラミー賞の設立を試みたことがありました。
TIME CAN’T WAIT / 小田和正 著 朝日新聞社 より)
純粋に素晴らしい楽曲に対して、アーティスト同士が認め合い、讃え合う。そんな場が日本にあったら。
結果は見事に挫折したと記されています。

時は過ぎ2003年、そのときの、20年前の思いが形を変え、
「クリスマスの約束」として我々に届いた。
そして、この2003年の「クリスマスの約束」を終えてからすぐに発表されたのが「まっ白」。

それでもまた始まろうとしてる その時を待っていたように
愛はとまどうふたりの なにもかも まっ白にして
(「まっ白」)

「まっ白」、というタイトルは、その時の心境が反映されてるのかなとも思う。
ドラマの主題歌で、「許されざる恋の始まり」がテーマだと思いますが、考えようによっては「叶わぬ想い、憧れ」が「始まった瞬間」を切り取った歌のようでもあります。
まっ白な、はじまり。
そこに「日本人が誇れる音楽文化の始まり」を見るのは、わたくしのこじつけではありますが。

決して歌詞をど忘れした瞬間のことではありません…たぶん。

「まっ白」 作詞・作曲・編曲 / 小田和正 より歌詞一部引用

そうかなメモその7「静かな場所」

June27 [Mon], 2005, 22:38そうかな / 小田和正(2005年)

「静かな場所」(2曲目)

新星堂で小田和正別冊pauseとpause7月号ゲト!18000字インタビューで小田さんはこの曲について、
「これね、事務所でやってるときに”女にはわからねぇな”ってみんなでそう言ってたんだよね。」と発言。

わからないふりをしてあげているだけかも…よ…

「老人のつぶやき」程は枯れてない、秘めた思い。
(ちなみに「老人のつぶやき」というタイトル、元々の「老人の秘めごと」のままだったらミステリーの題みたいでちょと怖かったです)

人には、自分以外誰も入ってこれない心の奥深い場所に、はからずも残してきた秘めた想いがあって、それは恋とは限らない。
小田さんは「静かな場所で君を想う」とたゆたい流れていくようなメロディーに乗せて、そんな気持ちを歌う。
チェロが歌メロを繰り返す。奥底でひっそり揺らぐ心を表現するかのように。

静かな場所、は抽象的な意味だと思うが、その言葉をきくと頭の中にある光景が浮かぶ。
ずっと昔に住んでいた、高台にあった家。部屋の窓から、遠くの雑木林と水田に来る大きな白い鳥が見えた。
真夏の暑さから気温がすうっと下がって、秋の始まりの霧雨が降る、ほの暗い部屋の中。
窓からの白く弱い光をたよりに、一日中好きな本を読む。
疲れて窓を開けると、湿った空気が流れ込んできて、雨の匂いがした。

もしかして、十代の頃の純朴な心が、ひっそりとそこにあるのかも。
始まらなかったから、終わりもこない。

「静かな場所」作詞・作曲・編曲 / 小田和正 より歌詞一部引用

そうかなメモその8「正義は勝つ」

June29 [Wed], 2005, 22:58そうかな / 小田和正(2005年)

「正義は勝つ」(6曲目)

ヴァージンメガストアの試聴機で、「そうかな」小田さん本人の全曲解説付きCDを聴いた。
いつもの小田さんのべらんめえ語り口を知っているファンなら面白いが、ふと興味をもった人が歌のイメージのまんまうっかり聴いちゃったらどうしましょう(笑)

「とぼけたタイトルで。…アホな歌だよ!深読みなんか全然しないでいいです。」(小田さん@pause)
って作者本人にいわれてもあれこれ考えるのがファンの性。
正義は勝つ。
正義とはなんでしょう。頑張ること?
ふにゃ~(ダメ人間)
しかし頑張るほかない時もある。ダメはダメなりに。

心身ともに具合悪くてしんどい時とか、頑張ったってどうにもならなくても、頑張るしかないもんね。
ドラマかなにかの台詞ですごく心に残ってるのがある。
病気と闘ってる人は、「頑張れ」じゃなくて「大丈夫だよ」って言われたい。病人は言われなくたってみんな頑張ってるんだから。

小田さんは辛くても頑張ってる人たちに、大丈夫だよ、っていつも歌ってくれてる気がする。
この歌もそう。
だってさ、がっくりきてる時に「そんな時もある」「きっとうまくゆくさ」ってゆってもらえるとけっこう嬉しいぜ。
「正義は勝つ」、本当に勝つとは思ってなくても、その言葉に励まされてもう少し頑張れる。勝つといいなーくらいに。
一番頑張ってるのが小田さんだから、すごい説得力がある。

ま、現実は自分の頑張らなさ加減からして、負けて当然なんですけど。

「正義は勝つ」作詞・作曲・編曲 / 小田和正 より歌詞一部引用