July21 [Thu], 2005, 13:59
BOSSA ANTIGUA / PAUL DESMOND
(1964年録音)
夏休みのヘビーローテ盤、ポール・デスモンドの「ボッサ・アンティグァ」
なぜアルトサックスで、こんなにも優しく悲しい、温かくクールな音色が出せるのだろう。
ジム・ホールの心地良いギターも完璧だ。
ジャズ・ボッサでは「ゲッツ / ジルベルト」と並ぶ名盤だと思います。
最初の一音を聴いた瞬間、全身の余分な力が抜けて、
どこか遠くの、なくしてしまった思い出の場所を希求するような
眩しく切ない気持ちに押し流される。
過ぎてきた夏の情景が、とりとめもなく浮かんでくる。
今年の夏もきっと瞬く間に過ぎて、もう決して戻ってはこないんだろう。
目を閉じて、ボッサのリズムに身を委ねる。
アルトサックスの音色に、ギターの弦が奏でる和音に、静かに耳を澄ませる。
夏休み。
ポール・デスモンドのアルトの魅力に気づいたのは、デイブ・ブルーベック・カルテットの、かの有名な「テイク・ファイブ」がきっかけで、
TIME OUT /
THE DAVE BRUBECK QUARTET
(1959年録音)
5拍子、不安をかきたてるようなメロディーに
夜に飛ぶ鳥が、都市を見下ろしている光景が浮かぶ。
柔らかな毛布にくるまって、不安定な飛ぶ夢を見ている。
安心と不安。
二つの相反するイメージ。
変拍子でありながら、奏でる音色は安らぎに満ちている。
クールに響きながら、穏やかでやさしい。
ポール・デスモンドのアルト。