2005/7/25「NHKおはよう日本」小田和正インタビューレポ

August12 [Fri], 2005, 3:36

2005年7月25日のNHK朝のニュース「おはよう日本」で、小田和正さんの特集をしていました。
7:45から8分ほどのコーナーです。
ちょうど前々日に、さぬき市野外音楽広場テアトロンでのライブがあり、ライブの模様を織り交ぜつつ、会場でのインタビューが流れました。
今更ながら文字起こししてみようかと思います。

(DVD「風のようにうたが流れていた」より、「ラブ・ストーリーは突然に」の映像。小田さんギターを弾きながら歌います)

高橋美鈴アナ:小田和正さん57歳。高く澄んだ声で歌うラブソング。
数々のヒット曲がありますよね。
その小田さん、先月5年ぶりにオリジナル・アルバムを発売しまして、最年長で売り上げ1位を記録しました。
今年は3年ぶりに全国ツアーも行っていまして、ますます精力的に活動を続ける小田和正さんに、57歳の今の思いを伺いました。

(7月23日、さぬき市野外音楽広場テアトロンの、入場する人たちの映像。みんな日傘をさしたりして、とっても暑そう)

ナレーション(以下ナ):コンサート会場に向かう長蛇の列。若い人から年配の方まで、全国から7,000人のファンが集まりました。
この日の会場は、瀬戸内海を見渡す、野外音楽場。
小田さんが好きな会場のひとつです。

(会場の芝生の上。20代前半?の若い女の子ふたり)

「50代で現役で、こんなに人を集めるなんて。」
「うちら20代とかでも普通に聞けるし、感動できるけん、凄いと思う。」

(テアトロン、「さよなら」を歌う小田さん。
水をかぶったように汗びちょ、すっかり透けたTシャツの胸元アップ(NHKコラー!)~顔のアップ。) 

ナ:今回のツアーは、半年で40公演。29万人を集める予定です。
50代のアーティストとしては最大規模です。

(テアトロン、客席の通路をあちこち歩きまわりながら「ラブ・ストーリーは突然に」を歌う小田さん。みんな興奮し、身を乗り出して握手を求める)

ナ:コンサートでは、少しでもファンに近づきたいと、広い会場に飛び込んで走り回ります。
3時間で歌う曲はおよそ30曲。年齢を感じさせないステージです。

(観客入場前のテアトロン会場。すり鉢状の客席の後方、ステージを背後に見下ろす感じ。
右手に小田さん。左に女性インタビュアー。
蝉の声が聞こえる)

インタビュアー(以下、イ):すごく疲れるんじゃないかなと思ったんですが、体力的にはどうですか?

(小田さんがアップになると、背後にはステージ越しの瀬戸内海が見える)

小田さん(以下、小):そりゃもう…。お客さん、ねえ、せっかく来てくれて、高いお金払って。
だからもうその疲れるとかよりも、何とかしなくちゃっていう。
もうはなから、何とかしなくちゃ、っていうのがあって…
(汗を拭く)
くっだらねえ歌書いておっきい声で歌ってたって(笑)、面白くもなんともないから。(笑)

(一瞬遠くを見る…)

なんか、やっぱり伝えたいことがあって書くわけだからね。
うん…そのあげくに、伝え方として、走ってみたり、叫んでみたり。
ま、のたうちまわる感じですよ。

(リハーサル中、「静かな場所」を歌う小田さんのアップ)

ナ:小田さんの魅力でもある、高く透きとおる声。
しかし、この声がいつまで出るのか、小田さんは不安を感じると言います。
本番に備えて、リハーサルでは、あえて高い声は出しません。

(インタビュー中の小田さん。頭の後ろに手をやりながら)

小:とにかく、よしゃいいのに、作る曲作る曲、相変わらず高いとこ作るから、これ全部、本気で歌ったらどうなるんだろう、ってのは、本番までやらなかったね。不安だし。
これ歌えないからやらない、とは言えないし。

今はやっぱり(声が)出るから、もう後先考えないで
「行けーー!!」みたいなね。
その、「行けーー!!」っていう、もうほんっとに行けーと思ってるから。それがお客さんに伝わる部分もあるんじゃないの。

(テアトロン。「the flag」を歌う小田さん)

ナ:今、小田さん自身驚いているのは、客席に、若い人たちに混じって、自分と同じ世代や、それより上の男性が増えてきたことです。(客席の壮年男性の姿)

小:人生の機微も、ねえ。俺よりあのー分かってるような、勉強もたくさん、本もいっぱい読んで、みたいな人が、来てっと、とってもプレッシャーかかるよね。
なあにをー。なーんですか、みたいなね(笑)へへ(笑)
なんか(笑)なんか用ですかあ?みたいな感じで。

きいてみたいなあと思うんだけど、きくのも、その怖いなってゆうのがあって。
なんかきいて、変な、過分な期待されんのも怖いし、
勘違いされて来られててもヤだし、
とにかくもう、投げる、投げつけていくしかないなと。(右手で投げる振り)

(芝生の上、壮年の男性)
男性:変わらないでしょ。うん。そこらへんがやっぱり魅力やね。
僕等も、励みになるっていうか。

(黒い日傘(奥様の?)をさした壮年の男性)
男性:ポリシー持って、音楽を愛して、ずっとやってる。
すごくあれやね…共感が持てるし、うらやましいし。

(すっかり日が暮れたテアトロン。「正義は勝つ」会場はほぼ総立ち)

ナ:小田さんが意識する年配の男性ファンたち。
この日のコンサートでは、そうした人たちへのメッセージともとれるような言葉もありました。

(キーボード前で「ネタ紙」を広げる小田さん。すでにTシャツ1枚で汗だく)

小:生まれて来て、どうしたら勝ちかっていうのをね。ええ。
それは、やっぱり僕は、思い出をいっぱい作るっていうことに尽きると思いますね。
思い出の、多い人の勝ち。ね。(微笑む)
毎日まいにち、ダラダラ生きてちゃダメですよ。(どき)

でもあんまり、最近思うんだけど、あんまり素敵な思い出、いい思い出ばっかりになってくると、死ぬのが辛くなってくる。ね。
この、兼ね合いが、難しいんですよ。(ニヤリ) 

(「そして今も」を歌う小田さん。画面に歌詞が出ます)

ナ:自分自身、団塊の世代の小田さん。最近作る歌の中には、人生を振り返るものもあります。
それは、自分と同じ世代へ向けた、メッセージでもあります。

イ:一番新しいアルバムの中に入っている、「そして今も」という曲ありますよね。
すごく、あのー、同じ世代への、やさしさみたいなものを感じるんですが、あれは…

小:(さえぎって)やさしくないと思うな俺は。(バッサリ!)
やさしいってゆう…より、こうやってけっとばす感じじゃない?(右足で軽く空をける)

イ:けっとばす?

小:おまえら、頑張ろうぜみたいな。
やさしく包んであげようなんて気はないもん俺。

人を頼ってたら絶対ダメだと思うんだ。もちろん、友達が助けてくれたり、そういうことはもう、甘えてもいいと思うし、
助けてもらうのは、いっくら助けてもらってもいいと思う。
頼っちゃったら…頼ると、やっぱり離れて行くしね、人は。
うん。不思議なもんで。
だから、自分の力で、のたうちまわると。

(「おはよう日本」のスタジオ。)

野村正育アナ:歌の印象から、何となく、やさしくて華奢な人かと思っていたら。骨太な信念の持ち主だったんですね…

高橋美鈴アナ:そうですよね、コンサートの時は、ステージの上で戦っているような感じだという風に、おっしゃっていたんですが、
小田さんね、57歳になった今だからこそ、こう、まわりのことを気にしないで、何を言われるかってことも気にしないで、自分のやりたいことを、全力で、直球で、思いっきり、することができるようになったと。
そういう意味では、歳をとってよかったと、いうふうにも、おっしゃっていました。

インタビュアーの声が高橋アナと同じに聞こえたのですが、はるばるテアトロンまで行ったんですね。
さすがNHK。発音がとっても聞き取りやすくて、文字起こしがらく!

『思い出の、多い人の勝ち。』

自分はどうだろう?
…小田さんに関する思い出なら、たくさんあるけども。

小田さんの超絶シャウト。武道館で聴いた。

「もうほんっとに『行けーーー!!』と思ってるから。それがお客さんに伝わる部分もあるんじゃないの。」

だからクルんだ。
だからハンパなく体中に伝わるんだ。