『私は貝になりたい』を

December18 [Thu], 2008, 1:10

小田さんライブで会うたびに、私が「絶対観てね!」と脅迫…いえ熱烈にすすめたばっかりに

『私は貝になりたい』を観に行ってくれたおともらちの皆さん、ありがとう~
できる限りたくさんの人に観て欲しい映画なのです。
感動するとか、泣けるとか、そういうことじゃなくて、
この映画を観て感じた事、考えた事を、誰かに伝えていくべきだと、そう思ったので…

観終わった後のやり切れなさ、重たい気持ち。
鉛のような重いものを無理やり呑み込まされたような気持ちです。

泣いた、もちろんぼたぼたと涙がこぼれたけれど、
たとえば、悲しい映画やドラマを観て涙を流した後に訪れる、カタルシスのようなものは一切無くて、
泣いても泣いても浄化しきれない、どす黒い塊が残った。

家族と引き裂かれる悲しみ、愛する人に会いたいと願う気持ち…そういった人間らしい感情に浸ることは、きっぱりと拒絶している、
そんな映画だと思いました。

目まぐるしく切り替わるシーンに気持ちがついていけない。
なぜ?どうして?そんなことがまかり通るのか?
やり切れない疑問を次々と引きずったまま、
微かな希望も空しく、唐突に訪れる、物語の終わり。

でもそれが戦争というものの理不尽さそのもの。

理不尽、そのひと言に尽きる。
ナカイさんも言っていましたが、
「何十万人が死んだひとつの戦争の話」じゃない、
何の罪もない人間が、何十万何百万人と、
残虐に、無意味に殺されていく、一人一人に起こった事実の話。

戦争になにひとつ美化されるべきものはない。英雄などいない。
恐ろしく理不尽で、愚かで残酷で無知で醜い。

ひとつもいいことがない、格好よくもない、英雄でもない。
ただ翻弄され、誰も知らぬ間に、惨めにひっそりと殺されてゆく。

せめて豊松に、最後の瞬間、家族の写真を見せてあげてほしかった。
あんな、指でなぞるだけなんて…

「豊松の死は誰ひとり納得しない。」
この映画をみてよかった。

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