居酒屋の星野仙一・その6「ずっと 友だち」

February26 [Sun], 2006, 19:07

「居酒屋の星野仙一~ゲスト・小田和正 in 名古屋」
ほとんど文字起こし、完結~やったー!

その5「君は空を見てるか、風の音を聞いてるか」はコチラ→

放送された内容とまったく同じではありません。

■1986年、小田さんが、アメリカのロスに半年以上滞在し、現地で音楽制作をしていたとき。
NHKのキャスターをやっていた仙ちゃんから、突然電話がかかってきた。
「全米オープンやってるからNYのロングアイランドまで来ないか」

小田さん「来ないかって、ニューヨーク行くのに5時間ぐらいかかる。わかってんのかなアイツ、みたいなさ(笑)」
星野氏「ロスアンゼルスからニューヨークまで、か(笑)」

小「泊まれるから来いやって。でも全米オープンも見たいし。
行ったよね。ニューヨークで、レンタカー借りて。2時間ぐらいかかんだよロングアイランドまで。
ロングアイランド知らないし、がさつな地図でさ。
ま、行くとこまで行ったんだけど、どうやって会ったのかは覚えてねえんだ。」

仙ちゃん「俺ね、来るの忘れてたの」
和ちゃん「えっ(爆笑)ひでえー!」

星「で、今みたいにナビがあるわけじゃないから。ところが…来たろ?
どうやって来たんだろ」
小「俺も覚えてない、最後のとこ覚えてないんだけど。
あんときに二人で飲んで、あの日がとってもおかしいなと思うのよ。ふたりにとって。ねえ。あんな一日があったってゆうのが。」
星「そうだよ。」

小「それ懐かしく思い出すね今でも。
まあそれで、いろいろあって、監督やったりして、またうわー騒いでんな、相変わらず。暴れん坊でやってるなと思って。
あ、オレも頑張ろ、
オマエ最近しょぼくれてるな、なんて言われたくないし。会ったときに、イーブンな感じで会わなくちゃって、思ってるからね。」

星「今日は俺負けたと思う。」
小「いやなーにいってんですか!」
星「だから俺がんばらなきゃいけないと。」
小「いやいやいや。」 
星「俺のグラブ持っていったの知ってる?」
小「星野、って書いてありますよ。」
星「あの時代振り返ってると面白いよね。」
小「面白いよね。ぽつんぽつんと。点が線になって。
今回この話があったとき、あーなんか、ゴールじゃないけども。
そういう時が来たんだな、っていうふうに思ったね。」

■星野氏に贈る言葉を、色紙に書く小田さん。

星「小田に今日…なんか書いてくれよ。」
小「そんなこと…考えてくりゃよかったなっ。(←こどもみたいな口調)
へへへ(笑)」
小「初めてだよそんなの書いてもらうの。」星「そうだよな。」

小「はい。できました。(にやにや)へへへっ!」

仙ちゃんへ!

ずっと 友だち

小田和正  2005.12.20

星「こう言えるってのはね、やっぱり、我々の歴史っていうか。
(「そうだね」)そういうものが感じられるよな。」

小「それが財産だ、って思うよね。」
星「友だち。」
小「ずっと、見守ってますから。」
星「ありがと。俺も見守ってるから。」
小「へへへ(笑)」

小田さんの歌が流れる。
17年前、名古屋ドームの監督室で、談笑するふたり。
つい先日の名古屋ライブ、アンコールのステージに登場した星野氏を笑顔で迎える小田さん。

そして きみの中に ぼくは いるか
空は あの日のように たゞ 青いか
愛する ひとは そこに いるか

もういちど 生きて ゆくとしても
また 同じ 人生を たどるだろう

ぼくが こうして ぼくで ある限り
ぼくは きっと 自分を 生きるだろう

そして きみの中に ぼくは いるか
空は あの日のように たゞ 青いか
愛する ひとは そこに いるか     (「そして今も」)

星野氏「今日は小田和正と久しぶりに話しました。
そしてもらったのがね、『仙ちゃん!ずっと友だちでいよう』と。涙が出るような言葉を頂いたんですけどね。

我々ね、団塊の世代の男たちは、みんなを代表して、頑張ってるんだと。
小田を先頭にね、ステージであんだけ張り切って、やってるわけだからね。皆さんもね、彼のステージを観てですね、元気出そうよ!私も元気出すから!もう、元気のない男たちはダメ。
とにかく、あのステージ、我々の話を聞いて、元気出しましょう。
元気が源ですよ。

今日はホントにね、負けた!現役うらやましいなあ!
そんな、日でした。」(笑顔)

星野仙一と小田和正。
ふたりががっちり握手している画面で、番組は終わります。

小田さんと星野さん。
ふたりに共通するのは「熱い男」だということ。
星野氏は激しく赤々と、

小田さんは静かに青く燃えている感じ。
よいコンビです。
熱い男同士の対談、とっても面白くて、深ーい内容でした。
音楽と野球という、異なる分野でそれぞれに活躍している二人、でも共通する思いってあるんだなあ。

星野氏はGの監督、本心はやりたかったんじゃないのかな?とふと思いました。野球界の改革には、まずあそこを切り崩さねば。本丸に乗り込むいいチャンスだったのでは。
「Tに残る」と発表した時の、歯切れの悪い記者会見を思い出しました。
もちろん、原氏が2年前の遺恨を流してGの監督を受けてくれたから、結果的にはそれで良かったんですけど。
2年前のG最終試合、涙を流す原監督に、花束を渡し、背中をたたいてねぎらっていたのは星野監督だった。
TのSDなんて、名誉職に収まる人じゃないと思うんだけど…
健康には留意して頂きつつも、もいちど熱い采配が見てみたいと思う。

そして、小田さん。
小田さんは音楽家ではあるけれど、
最初にファンになったのは、小田さんの音楽が好きだったからだけど。
もはや単なる「音楽だけのファン」というわけではありません、もちろん。

小田さんの嘘のない言葉、真摯な生き方をかいま見るたびに、
なんてすごい人なんだろうと思う。

それだけの人と、人生のごく初期に巡り会えた幸運に感謝してやみません。
同じ時代を生きることができて、なんて幸せなんだろう。
ファンになって良かった。

「そして今も」作詞・作曲 / 小田和正 より歌詞一部抜粋